きれいなレントゲンを撮れば分かること

画像診断はきれいな画像で診断することが基本だ。当たり前だが・・・。
レントゲン診断では正しい角度、そして、現在ではデジタル化しているので、きれいな画像を得るには十分な線量、そして適切な画像処理が必要だ。これがほとんどの獣医師が残念ながら間違っている。というか全く知らない。

IMG_0064.JPG話題のDR(Direct Radiography)も国産メーカー各社から出ているが、付属のパソコンと画像処理がひどくて、野外では、ほとんど使い物にならない。ここ数年何度もメーカーに言っているが、あほんだらの日本の会社は改善しようとしない。
IMG_0066日本のフラットパネルはOEMで海外で数多く使用されている。あちらではパソコンと画像処理がちゃんとしているので、野外の診断に耐える画像を提供している。
日本のDRはガラパゴスDRだ。

IMG_1403富士のDRだってアメリカじゃ画面も大きいし、こんなにきれい。とほほ!!

IMG_4059 さて、今回いつものように、きれいなレントゲンを撮ったら、見落としてしまいそうな骨折がわかった。
2週間前からの跛行が悪化して関節液がパンパンになり歩けなくなった競走馬。
FCRの右画面の強調処理でフィルムで出力するのが、今でも最強の画質になる。フィルムはすごい!
ぱっと見異常はないが、よく見れば関節面がわずかにはがれている。これは痛い!
球節をちょっとでも曲げると飛び上がるほど。速歩はほとんどだめ。
IMG_4061同じウマの写真。きれいな真横でないと骨折は分からない。
IMG_4060掌側関節面を強調した正面からの撮影でも、はがれているのを確認。こりゃ痛いね。
IMG_4063角度が合わないと写らない。

この症例は、このままでは、跛行が続いてしまう。剥離した骨片を取りたいが、関節鏡や関節切開を検討したが、球節を前から攻めても後ろからやっても、ちょっと届きそうもない。どなたか名案は?

IMG_3883今年の日光は大雪。懐かしのウニモグ大活躍。

老齢馬の浅屈腱断裂

昨年夏、放牧していた22歳のハノーバー種の乗馬。突然右前足の屈腱が腫れた。エコー検査で1a1bに重傷の屈腱炎が分かった。
放牧だけしかしていない乗馬がこんな重傷の屈腱腱炎になる理由が分からなかった。

IMG_3981 初診時のエコー。
浅屈腱の中心が完全に黒く抜けている。屈腱炎はウマが走っているときに腱の中心の温度が高くなるので中心にダメージが起こりやすいと言われているが、休養していても中心が悪くなるのは不思議だ。

IMG_39793ヶ月後の秋まで症状は休んでいるにもかかわらず悪化していった。痛みは増し、横になることも多くなった。再度のエコー検査で屈腱は更に悪化した状態になっていった。

IMG_3980こりゃひどい!断裂状態!反対の足も同じ様に腫れてきた。

IMG_3824なんと、2月に行ったら両前の球節が地面に着きそうになっていた。前足の浅屈腱が断裂してこんな風になったようだ。
ちなみに、繋靭帯が切れると球節は完全に地面について、立っていられなくなる。

こんな事があるのでしょうか?
そこで見つけたのがこれ。

2014 AAEP PROCEEDINGS.  P.257
Spontaneous Rupture of the Proximal Superficial Digital Flexor Tendon:
A Clinical Syndrome in Aged Equids

IMG_3779富士山の火口って上から見ると意外と小さいね。