ウマの歯の脱臼

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6歳の乗馬。あごが折れたと連絡が来た。大体、歯が折れたとの連絡のほとんどは下顎骨折のケースなのだが、今回、顎は折れていなかった。
顎が丈夫で折れなかったらしい?
しかしひどいね、これは! 前歯3本が脱臼、反転した。

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脱臼した歯を元に戻すのに、反転していたので、一度引っ張って元に戻そうとすると、なんと歯が抜けてしまった。歯のナンバーリングでいえば302,303の前歯である。
あわてて?元に戻してみるが、元には完全に戻らないので、たたいて入れてみたが少し出っぱる。
咬合面を削って、隣の歯より少し短くしてワイヤーで固定した。

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犬歯があると大助かり。もちろん無ければ他の方法で固定。見た目は良好。ワイヤーだらけ。

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剥がれた歯肉もチューブで圧迫。縫合。

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10日後。結構良さそう!

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一ヶ月後。無事にワイヤー除去。おめでとう!男前がもどった。

ウマの胃潰瘍は内視鏡検査をしないと分からない

ウマのなかで、胃潰瘍が最も多いのは競走馬だ。

80%とか90%とか言われるが、胃潰瘍かどうかは胃内視鏡検査をしてみないと分からない。
飼い葉食いが悪くても胃がきれいな馬もいる。
軽い胃潰瘍と思って検査をしたら、胃の粘膜がドロドロの馬もいる。
入厩時の検査で胃がきれいでも、一週間後にはドロドロになる馬もいる。
飼い葉減少、やせている、体重が減少、イライラする、ボロがやわらかい、ボロが黒い、このような症状があれば、胃内視鏡検査が必要。

乗馬では、競技馬やエンデュランスのウマにも胃潰瘍がある。

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正常な胃。粘膜はピカピカで白く、内視鏡検査では胃の中が明るく見える。
薄いピンク色の所が胃液を出さない無腺部。胃潰瘍になりやすい部位。下に見える赤いところが、腺部。胃液を出す部位。

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G2の胃潰瘍。このくらいだと相当痛いはず。イライラ、体重減少、飼い葉食わない、etc。

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G3の潰瘍。正常な胃粘膜がほとんどない。ウマは胃がかなり痛い。飼い葉食いは悪く、体重も落ちる。出血でボロが黒くなるウマもいる。
これじゃ、競馬も走らない。ガストロガードを2週間投与することで、ほとんどは完治する。しかし、 せっかく治っても追い切りやレースで再発する。
なりやすいウマはメーカー推奨の予防量では足りない。推奨量ではレースや追い切りで再発する。