先月、乗馬雑誌「UMA LIFE」の取材が来た。
丸一日の取材で普段の診療や手術、牧場の診療の取材に来た。
全部で5ページもあるので内容や誤字の直しに結構大変でした。取材から出版まで時間が少なく、あっという間に雑誌ができたのには驚きでした。締め切りに追われない仕事で良かったです。
みなさん、見てね。
小動物関係の研修、セミナーは山のようにあるが、ウマ関係の研修は数えるほどだ。当クリニックでは情報の遅れがないよう毎年必ず何らかの研修に参加している。
2018年参加した研修。1月、2月は公獣協(公営競馬獣医師協会)の那須の第19回獣医師生涯研修。この研修も最初の頃は結構参加者も多かったが、ここ数年減少傾向。地方競馬に所属している先生、個人の馬専門の先生、研修に来なきゃダメでしょ!たったの7.000円で受けられるんだから。学生さんは無料だったような。
8月は社台のカンファレンスで苫小牧へ。このカンファレンスも内地の先生はほとんど誰も来ない。北海道の先生しかいない。
カンファレンス前日に行った千歳では評判?らしいジンギスカンの店。焼肉のタレみたいなのが出てきてぶったまげ!ビールの付き出しは解凍したどろどろの枝豆。おまけにジンギスカン鍋は油がたまっていて野菜を入れたら大爆発。素人みたいな店は恐ろしい。つくばの綿羊のタレが本当のジンギスカンのタレだ!
12月はAAEP米国馬獣医師会の年次総会でサンフランシスコへ。前回行ったサンフランシスコのAAEPは1991年。超久しぶりのサンフランシスコ。
トレードショーはものすごい数の業者展示。ここでは日本では売ってないものが、その場で買える。小さいウマ用の気管チューブ3本ゲット。
牧場に入ってきた競走馬。耳に飼い葉桶などを吊るす金具が入って取れなくなったと連絡が来た。
いくら引っ張っても取れない!鎮静をして、耳の中に麻酔薬を入れて1時間頑張ったがどうしても取れない。
耳は切りたくないし。無理矢理金具を回して、やっと取れた!
馬房の壁に水桶をかける金具が立ち上がる時に耳に入ったようだ。馬房に入れっぱなしだったので、牧場の人は2日間気がつかなかったが、金具がなくなったことには気づいていたらしい。外に出す時、頭絡をつけてやっと気づいたらしい。
1週間後に漿液が溜まったが、抗生剤と消炎剤の投与で無事に良くなった。
世界で最も走行距離が長い電気自動車テスラ。テスラ専用の超高速充電器スーパーチャージャーも世界最高だ。よくある高速充電器の倍以上の速度で充電可能。
なんと1時間に500km以上充電することができる。そのスーパーチャージャーのスタンド?には、それぞれ1A,1B,2A,2B,3A,3Bと番号が振られている。まるでエコー検査の浅屈腱の位置表示みたいだ。
13歳、騸馬。J*Aの元誘導馬。原因不明の右肩跛行と診断され、そこの乗馬苑では2年間、肩に温湿布をしていたらしい。廃馬になりやってきた乗馬クラブから本当の原因が知りたいというので群馬のクラブまで行ってみた。
前もって送ってきたビデオでは、速歩でまっすぐ走ると明らかに右前の跛行。調馬策では左回りの方が跛行が悪化して見える。普通、右前の下肢部が痛い時は、右回りの方がより痛くなる。左回りで右前が痛いって、こりゃ典型的な繋靱帯炎だねっと思ったら・・・・。クラブに着いてみると。
早速触ってみると、明らかに右前繋靱帯の上のほうが痛い。やっぱりね。これはPSD。速歩では結構痛そう。神経ブロックの基本は末梢から。一応、跛行は変わらないだろうと思いつつ蹄に麻酔をしてみた。あら不思議。跛行が消失。こりゃ完全に予想外。おまけに、かなり触診で痛かった近位繋靱帯の圧痛も消失。???繋靱帯が痛いウマは蹄も痛い時があると言われているが・・・。
やっぱり乗馬で長期の跛行の原因NO1は蹄ですね。だまされた(笑)。
とりあえず蹄のレントゲン撮影。特別な異常も無く割と綺麗。予想外の展開で蹄も良く触らずに麻酔。今日はツメですねとしか言えず。蹄底のパッド、蹄踵を高く。他に出来そうなことは?
縫合部も蹄壁も、なんとか感染も無く順調、
過剰な肉芽もなく、とても良好。全部抜糸。あとは割れている蹄壁の処置のみ。
今回はちょっと難しい症例なので、乗馬のS先生にワイヤー固定をお願いした。
蹄壁が薄いので、エクイロックで裂蹄の両側に土手を作り、そこにワイヤーを通して締めた。なるほど。
手打ちそばの総本山とも言われる足利の一茶庵。前回は予約しないで行ったら1時前で、そばはもう、ありましぇーん。今回はリベンジ。予約しました。12時前なのに満席。予約して良かった!
細切りで、つゆも少しからめ。なかなか美味い。でも、私の本命は成田手前の408号沿いの久霧。ぱりっ?とした食感のそば。さらっとしてうまい。お昼のミニ天丼付き1000円がおすすめ。
牧場で2才の競走馬が夜中に右後蹄にひどい外傷を負った。馬房のトタン板を突き破って引き抜いた時にやったらしい。馬房の壁やとびらにトタン板を使うのは危険だ。乗馬なども後ろ脚で蹴り破って、つなぎや腱をズタズタにすることがある。動脈を切れば、一晩で失血死。
外傷はあまりにもひどく、後ろ足なので、担当獣医師の依頼で全身麻酔で治療することにした。
外側の蹄球は蹄軟骨と共に中まで完全に切れていた。トレセンではちょっと見かけないほど重症。再び走れるようになるのか。
蹄球を引っ張ると、蹄底も蹄骨から剥がれてきた。ワラが中に入っていたので汚染が心配。時間をかけて中を洗浄と吸引を繰り返した。
蹄球を縫合。蹄球は絶対縫合しないと肉芽が大爆発する。蹄軟骨はくっ付く?
皮膚は全部縫合した。見た目は結構良さげです。うしろ側の蹄壁は薄いので、ワイヤー縫合はあきらめて専門家に依頼することにした。
蹄のひどい外傷は、ギプスで固定することで、きれいになおりやすい。割れた蹄壁からの感染予防と蹄球の早期の癒合が期待できる。セファロチンナトリウム10g を2回/日とゲンタマイシンを5日間投与した。
乗馬がラチに激突した。ぶつけた右前腕にはキズがあり、担当獣医師に治療を受けた。1ヶ月間、外傷治療を受けたが治らなかった。担当獣医師にレントゲン、エコー検査を受けるも、決定的な原因は分からなかったが患部に針を刺してみると骨ではない何か硬いものがあるのが確認できた。
鎮静剤がほとんどきかない同馬は依頼により全身麻酔で倒馬して治療することにした。
キズの周囲を圧迫すると、中から膿が。鉗子で探ってみると確かに硬いものが中にある。
周囲を切開してみると、でかい木片が出てきた。あっと驚くためごろー! 知ってる?
アップにすると、結構迫力あるね。こんなのが良くも1ヶ月入っていたもんだ。皮筋の下にあるので、触っても木の感触は分からない。
他にも残っていたらまずいので、中を念入りに洗浄して前後にドレーンを装着し空洞のなかに漿液が貯まらないようにした。最後に包帯をしてドレーンからの感染を予防。
こんなのが1ヶ月も入っていたらウマもやですね。裏側は平で完全に柵の一部。
あらためてレントゲンを見てみると、木片の影が。木は白く映るのかの思っていたら、黒く写っていた。水分を吸収して透過性が増したのか、木片が筋肉を押し広げてそこだけ透過性が増したのか。木片が黒く写るというのは今後の重要な知見である。
5日後に担当獣医師にドレーンを抜いてもらったが、経過は良好らしい。
つくば科学博の年に開店した筑波西武が2月いっぱいで閉店した。32年間最後の日はものすごい人。いつもこんな感じだと、つぶれなかったのに。
50%引きの棚はものすごい人だかり。肉屋も魚屋も半額の威力はすごい。あっという間に全商品がなくなった。
目の上を切ったと連絡があった。まぶただったら、4-0で縫合しようと思って見に行ったら、額に近いところ。ちょと安心。
鎮静し局所麻酔をする。このような外傷の麻酔はキズの中から注射をすればOK。針を刺しても痛くないのでやりやすい。キズの中から刺すと汚染が心配な様な気がするが心配無用。
ドレーンを入れておくほどでもないので、ガーゼを少しだけ明日まで入れる。
こんな外傷だと、ステープラーを使う人が本当に多いが、簡単な外傷こそ手で縫って練習した方が、いざという時に役にたつ。眼瞼も綺麗に縫えるの?あなた!
ちょっとしてから、またまたそっくりな外傷。今度はバイクリルで中を縫ってから皮膚を縫合。
鼻翼をひっかけて切った。ほっとくとカッコ悪いので縫合。鼻や口の周囲は汚れたりこすったりして管理が難しいい。バイクリルで中を縫って、皮膚を鼻翼の内外から縫合。鼻孔側のナイロン糸の断端が鼻孔にツンツンしないよう短く切って当たらないようにした。常時口カゴをしてもらったらきれいにくっついた。
なんでも切り取るのはやめよう!
競走馬の腕節はほとんど同じところが骨折する。骨折する場所が決まっているということです。従って触診もそこだけをさわればOK。それを理解していない獣医師もいる。みていると、ひざのあっちこっちをあてもなく触っている。そんなあなた!レベルが分かるので気をつけましょう。普段の触診は3箇所だけ。
さて今回の骨折は第3手根骨の外側、中間手根骨の遠位内側が骨折していた。
普通、手根間関節の構成骨は内側が骨折する。外側は珍しい。
橈骨遠位端の外側をねらった写真に通常は骨折しない第3手根骨の外側の骨折が写っている。中間手根骨の遠位外側も折れている。
スカイビュー写真。矢印が第3手根骨の外側の骨折部位。真ん中から右の骨が第4手根骨。
第3手根骨の関節鏡手術は通常外側からスコープを入れるが、今回は内側から入れた。なんか変な感じです。外側から入れたロンジャーで無事に骨片を全て取ることができた。(この写真は別症例)
近所にこんなに大量のマキがあった。宝の山。家の周りがまきだらけになってしまった。。